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セルロイド万年筆 大西製作所・匠の技を見た![文具]

公開日: : 万年筆, 文具

セルロイド万年筆に匠の技を見た。

セルロイド万年筆

セルロイド万年筆

日本でも数少ない手仕事でセルロイド万年筆をつくる、大西製作所へお邪魔しました。

セルロイドというと、若い人には馴染みなく、昭和世代の香りが漂うノスタルジックな響きに聞こえます。

かつては、下敷きやペンケースなどごく身近にあったセルロイド製品ですが、いまでは卓球で使うピンポン球、一部ゴルフクラブのシャフト関連部品に使われている程度で、日常の生活の中では、すっかりその名前を聞く機会も失われてしまいました。

カトウセイサクショ

万年筆ファンの方には有名な「カトウセイサクショ(片仮名が社名)」。
その加藤清氏が手がけたハンドメイド万年筆のSpaceemanのブランドもこのカトウセイサクショで生まれ、ビスコンティ社の「レオナルドダヴィンチ」「ポンテヴェッキオ」「マンハッタン」もこのカトウセイサクショでつくらましたが、2010年に亡くなられました。
その後、大西慶造氏が加藤氏の技術と機械を引き継ぎ、同年秋に大西製作所を立ち上げらえて、今もセルロイド万年筆を手作業で作り続けています。

セルロイド万年筆

1863年ピリヤード球の代用品として発明された素材で、高価な素材(象牙)に対する代用品でした。
摂氏90℃で軟化して成形がしやすかったことから、大量に生産され多くが市場に出回ったのですが、1955年セルロイドの発火事故が多発しアメリカで可燃物規制に対する法案が成立、セルロイドの消費が一気に減少し、アセテートやポリエステルにその座を奪われました。
セルロイドの主成分硝酸セルロースは非常に燃えやすく、光や酸素にも変化(劣化)しやすい特徴があるので、日本でも消防法の規定で「第5種危険物」の認定をうけています。
にもかかわらず、セルロイド万年筆の持つ魅力は他の素材では生み出すことのできない独特の色合いや、ペンから放たれる魅惑の光沢で、いまも多くの万年筆ファンの心をつかんではなしません。

製造工程

いま大西製作所では、セルロイドの他に「アクリル」「アセテート」の素材を使った万年筆やボールペンを製造しています。
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左から、黒=アクリル・ピンク=アセテート・青=セルロイド

こんなふうに、長い棒状(丸棒)の状態から一本づつ削り出していきます。
素材の違いはありますが、工程は概ね同じです。
セルロイドの場合、この丸棒に加工することも、とても技術が必要になります。

工程1

この機械で一本ずつペンに合わせて削り出しを行います。
機械での作業は直線的な工程に使われます。

wR0015373

 

 

工程2

これからが職人技の技法
通常の卓上旋盤機(ベンチレース)では、機械にセットしたペンを横からみる状態で削り出しを行うのが一般的ですが、轆轤を使う場合はペンが自分に突き出してくる状態で作業をおこなう違いがあります。

旋盤機

旋盤機

日本の伝統的技法のひとつ「轆轤(ろくろ)」を使った削り出し・穴あけの作業。
わずかな誤差でゆがみが生じたり、穴を均一に保つには練達の技を必要とします。
また、発火しやすいセルロイドなので、その点も気が抜けません。

0.2mmの精度がこの指から生まれる

0.1〜0.2mmの精度がこの指から生まれる

ペンのなめらかなカーブ曲線は機械で削り出すことはできないので、すべては大西氏の指さから生まれる匠の技がなせる奇跡。

この工程は何度も何度も繰り返し行われます。

工程3

バフで仕上げ

バフ

研磨機

回転式のバフ(研磨機)に2種類の研磨剤をつかって磨きだされたペンには、思わず見とれてしまうほど美しさが光を放ちます。

対比

対比

左が研磨後・右が研磨する前のペン軸

この工程の一部も繰り返し繰り返し行うことで、セルロイドでしか作りだし得ない独特の魅力の万年筆が作り出されます。

完成品 セルロイド万年筆

完成品 セルロイド万年筆

 

同じ柄で、セルロイドとアセテートを比較してみると?

上)セルロイド 下)アセテート

上)セルロイド 下)アセテート

どちらも惚れ惚れするほどのペンですが、上)のセルロイドの方が光沢に深みが感じられます。

まとめ

かつてカトウセイサクショが使っていた機械とその手業を引き継いだ大西氏によって、ふたたびセルロイド万年筆が世にでる機会を得ることができました。
現在日本では、素材となるセルロイドを生産(丸棒に生成する技術)できる会社も少なく、大西氏が使う道具も手作業で作り上げたものも多い。
また大西氏の技術を受け継ぐ後継者のことを考えると、いま一本欲しい万年筆。
コレクターかと、お叱り受けるかもしれないが、自分がその技を引き継げない以上、本当に優れた商品は大切につかって次の世代に残したい思う。
若い人たちに馴染みのないセルロイドといったが、ひょっとしたらボク以上に身近に感じる人達もいる。
ギターで使う「ピック」やアニメーション用語によく登場する「セル画」のセルはセルロイドシートから来ています。
軽くトリビアネタとして記憶の隅に留めていただければ幸いかと。


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Comment

  1. 松下 竜介 より:

    セルロイドのボールペンを手にしてからその使い心地が最高で手放せなくなりました。ダメージが酷いのですが、修理していただきたくメールを送りました。思い出のつまったペンを甦らせていただけないでしょうか。今後の段取りをお聞かせください。神戸市在住。

    • izupapa より:

      松下様
      恐れ入りますが、当ブログはメーカーのサイトではないために、修理等の問い合わせについてはお答えできません。
      お使いのセルロイドボールペンのメーカーをご確認していただいた上でメーカーに問い合わせをしていただくか、最寄りの文具店で訪ねていただいた方が確実かと思います。
      お力になれず恐縮ですが、どうかよろしくお願いいたします。

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