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万年筆の日 万年筆との出会い方・旅行編[文具]

公開日: : 最終更新日:2018/08/12 万年筆, 文具店, 旅文具, 旅行

万年筆の日 旅と万年筆

9月23日は万年筆の日

 

西暦1809年9月23日、イギリスのフレデリック・バーソロミュー・フォルシュが、金属の軸にインクを入れた筆記具を考案し特許を取得した事から9月23日が万年筆の日と定められました。
と、すでに過去にもこの記事を書きました。
フレデリック・バーソロミュー・フォルシュが、万年筆の原型モデルを作ったおかげで、ボクたちはこれほどまでに快適な筆記用具を手にする事ができたわけです。

とはいえ、ボールペンの普及によって、インクを入れ替える手間や面倒なメンテナンスが必要な万年筆は、日常の筆記用具から主役の座を奪われてしまった感があるのも現実です。
さらに、万年筆は高級筆記用具というイメージがつきまとっているのも、一般的なユーザー(消費者)の認識でもあるでしょう。
確かに1本1万円の万年筆と聞くと、「おお、手頃な価格だな」と思う人よりも、「筆記具に1万円!?」と尻込みする人の方が多いでしょう。
だって1本150円のフリクションボール(消せるボールペン)が60本以上買える金額ですから。
コンビニエンスストアや100円均一ショップなどで、手軽にボールペンが買える現代では、1万円の価値(どちらかというと付加価値かもしれない)を見いだせる消費者はまだまだ少ないようです。

万年筆に付加価値を付ける

先日、知人から「万年筆の事ちょっと教えて!」と、声をかけられて話を聞いてみると、息子がおじいちゃんから万年筆をもらったけれど使い方がよくわからないのでレクチャーしてほしいとの事。
さっそく、見せてもらうと、使い込んだ風格のあるMont Blanc146マイスターシュテュックでした。
Mont Blanc146は、インクのボトルに万年筆のペン先を沈めて、ペンのお尻を(尻軸)を回転させてインクを吸い上げる「吸入式」と呼ばれている万年筆で、まずこんな筆記具を見たことが無い大学生の息子さん。
しばらく使っていなかったようすなので、かるく中を洗浄して新しいインクを用意して、使い方を説明してさしあげました。
万年筆自体は他の筆記用具と比べれば重い類いのペンですが、筆圧をかけずに筆記できるので、大学生の彼には論文なんかを書く時に役に立つはずと思って、そんな話も付け加えて説明しておきました。
彼にとっては初めての万年筆であり、祖父からの贈り物という事で他の筆記用具とは違う1本になったはずです。

モノを長く大切に使うコツ

万年筆に限った話ではありませんが、モノを長く大切につかう秘訣は、どれだけそのモノに愛着を持てるか?です。
(愛着=付加価値=物語)
付加価値には希少価値という意味もあって、それってどちらかというと、外へ向いた価値観ですね。
つまり「自慢できる」といった概念です、ポケモンGoでレアなポケモンをゲットして友達に見せびらかすみたいな(笑)
ボク自身も、そんな経験があるので、この考えた方がダメという訳でありません。
長く愛用するためには、そんな自慢できる付加価値よりも、「自分の為のだけの価値」がそのモノについているか?が大切になポイントです。
上記の「おじいちゃんからもらった万年筆」のように、その万年筆に「誰々からもらった」という物語(ストーリー)が備わると最強です。

 

  • 祖父からもらった万年筆
  • はじめての給料で買った万年筆
  • 愛する人からもらった万年筆

 

などなど、その万年筆を見ただけで、それを手にした時の物語がよみがえってくるものほど、より愛着のあるモノになっていきます。
同じモノは、またお金を払って買えるけど、コレだからこそ価値や意味があるモノとの差といえるでしょう。

旅先で出会う物語

実は旅行ほど物語に溢れた出会いはありません。
日常というフィルターから離れて、モノを見ると普段とは違って見えてくるものがあります。
それは、旅先で出会ったというだけですでに物語になっているからです。
ボクは旅先でいろんなモノを買って帰る事が、ボク流の旅の楽しみ方になっています。

旅先で出会った万年筆の庄村さん

万年筆の庄村

万年筆の庄村

3年前に信州上田を旅したときに偶然見つけた万年筆屋さん(いまこんな表現は死語でしょうね)
見るからに、昭和の香りがそここに漂うお店の雰囲気に誘われて中へ入ると、万年筆の博物館のような棚にclassicファンには嬉しくてたまらない万年筆が並んでいます。

販売はしていないけど見ているだけで嬉しくなる万年筆たち

販売はしていないけど見ているだけで嬉しくなる万年筆たち

元はご主人がペンドクターとして、万年筆の調整から修理までやっていたと話す奥さんは、ご主人が亡くなったあと、お店を閉めようかと考えていたようですが、先代からお店を利用してくれる馴染みのお客さんや、遠く首都圏からも毎年のように買いに来てくれる人もいてくれるので、自分が元気でいるあいだはお店を守ろうとがんばっています。

なつかしさを感じる店内

なつかしさを感じる店内

 

お店の歴史は古く、それを物語るポスターを奥さんがお店の奥から出してきてくれました。

上田駅前商店街のポスター

dsc00567

野球盤としておはじきを飛ばしてプレイができるポスターのようです。

屋号の表記は右書きと左書きが混在しているところをみると、戦後(昭和20年)以降に作られたポスターだと推測できます。

左側中央の少し下に「店筆年萬村庄」の広告が見つけられます。

dsc00566
そんな奥さんと人柄とお店の佇まいに惹かれて、上田へ行くと必ず立ち寄ってしまう場所になりました。
ボクがお店へ行くたびに、お茶を出してくれてる奥さんと、ご主人のお話や万年筆のお話しを聞かせてもらっていると、いつもあっという間に1~2時間をこのお店で過ごしてしまいます。
そこでボクは、このお店と奥さんとの記念に1本の万年筆を買うことにしました。

プラチナ万年筆 #3677センチュリー シャルトルブルー(ロジウム)

dsc_2272

ユネスコ世界遺産にも指定されているフランスのシャルトル大聖堂。
その美しいステンドグラスのブルーを再現した万年筆です。

ちょうどブルー系のインクで使いたい万年筆を探していたこともあって、運良くこのお店でみつけることができました。
どこで買っても同じ万年筆ですが、この「#3677センチュリー シャルトルブルー」には「信州上田の万年筆の庄村で奥さんと2時間楽しくおしゃべりしながら買った1本」という物語がもれなく付いてきた訳です。
奥さんは齢(よわい)80歳を超えていますが、まだ矍鑠とされています。
でも、このお店をあと10年・20年現役で続けられるかはわかりません。
別のひとがこのお店を継いだとしても、それはボクにとっては別のお店になってしまいます。
いまのこの時間「一期一会」を大切にしたかたったので、旅行中にはちょっと大きな出費でしたが、一生想い出に残る1本を手にできました。

物語のあるまとめ

特に限定品でもない万年筆は、都会の大きな文具店へ行けばだれでも買うことができますし、Amazonなら少しお安く買うこともできるでしょう。
でも、旅先で買ったこの万年筆は、上田で食べたそばや観光の想い出と一緒に持ち帰る事ができます。
何年かの後、この万年筆を見る度に、お店の奥さんや今回の旅の想い出がよみがえってくる、そんな1本になるはずです。

9月23日は万年筆の日
あなたが大切に思う人へ、自分の事を「生涯わすれないでね」って念をこめて贈ってみるのもいかがでしょう?
20年30年後でも使える筆記具が万年筆です、国産(セーラー・プラチナ・パイロット)などなら1万円前後で一生使える万年筆が発売されています。
街へ出たとき、文具屋さんに立ち寄った時に、ちょっと万年筆の売り場を覗いてみて欲しい、そんな万年筆の日です。

データ

万年筆の庄村

住所 〒386-0012 長野県上田市中央2丁目6−2
電話 0268-22-1887
営業時間 10:30頃~17:00頃
定休日 日曜日
JR・しなの鉄道・上田電鉄上田駅から徒歩10分(約400m)

プラチナ万年筆

#3677センチュリー シャルトルブルー(ロジウム)
●品番 PNB-15000CR #51 シャルトルブルー
●価格 ¥15,000(税抜き)
●製品仕様 ペン先 大型14 金(ロジウムフィニッシュ)
胴軸・鞘・カバー・天冠(AS 樹脂)
カバーリング・金輪・天輪・尻輪(黄銅にロジウムフィニッシュ)
クリップ(ベリリウム銅にロジウムフィニッシュ)
●サイズ 全長139.5mm× 最大径15.4mm 重量20.5g

 

万年筆の日 過去記事

万年筆の日 万年筆の選び方2015 過去記事はコチラ
9月23日は万年筆の日、万年筆で書こう2014 過去記事はコチラ


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Comment

  1. 桝山雄三郎 より:

    懐かしいお店の写真を見せていただきました。1982年頃、某国内万年筆メーカーの新入社員ルートセールスの営業で毎月庄村万年筆さんに伺い、ご主人相手に営業していました。茅野の矢島紙店、諏訪万年筆、伊奈のアケボノ万年筆、上田はマルヨウという名の文房具店の2階でも万年筆を売っていましたね。松本の万年筆の山田さんも行っていました。今は米国でペンクリをやっていますw

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