戦略の教室 賢者は過去から学び愚者は未来を嘆く(書評)
古代から現代まで2時間で学ぶ 戦略の教室
~生き抜くための勝利の全法則~ 著鈴木博毅 ダイヤモンド社刊
サラリーマン時代ほとんどビジネス書を読まなかったボクが読めるビジネス書。
過去の偉人の伝記や思考法なんかは、大きな本屋さんにいけばいくらでもありますが、1冊読むのも大変で、どれから読んでいいのか、悩んでいるビジネスマンも多いのでは?
ボク自身、出版の営業をやっていて、あまりの多さに辟易して手を出さなかったジャンルでもあり、取っつきにくい分野だと思います。
もちろん、大手企業にお勤めの方なら当然のように読んでいる方も多いのですが、読む人と全く読まない人の格差があるのも、この分野の特徴といえます。
読まなかったボクが偉そうに言うのも憚れますが、今読まない人も、実はなにから読んでいいのかが、わからない人たちがほとんどでしょう。
今回のこの本は、そういった人たちにオススメすると同時に、過去の戦略を現代に活かす方法を模索している方にもオススメできます。
・目次から選ぶ
- 勝敗を分ける「リーダー戦略」(孫子、アレクサンダー大王、マキャヴェリ)
- 戦況を決定づける「軍事戦略」(ナポレオン、クラウゼヴィッツ、リデル・ハート)
- 生産力を最大化する「効率化戦略」(テイラー、大野耐一、ジョージ・ストーク)
- 組織の限界を突破する「実行力戦略」(野中郁次郎、T・ピーターズ)
- 突出した成果を出す「目的達成戦略」(ドラッカー、T・ピーターズ)
- ライバルに勝利する「競争戦略」(ランチェスター、ポーター、チャン・キム他)
- 問題を解決する「フレームワーク戦略」(マッキンゼー、BCG、コトラー)
- 強い組織をつくる「マネジメント戦略」(チャンドラー、ミンツバーグ、ハメル)
- ルールを変える「イノベーション戦略」(シュンペーター、クリステンセン他)
- 新たな生態系を生み出す「21世紀の戦略」(ゴビンダラジャン、ヘッケル他)
ざっと見るだけでも、有名な名前が並んでいます。
もちろん「えっ!知らないよ」という方も大丈夫、ボクも半分は知りません。
10の章から成り立っていますが、自分が知っている人物から読み始めてもぜんぜんOKです。要は意識・関心を持つことから入っていきましょう。
読みつづけていくうちに、自然に歴史的戦争の戦略や戦術が見えてきます。
この本の最大のポイントは、歴史的事実を紹介しているのでなく、過去の戦略の中に現代に通用する戦略に変換して、実際の実例を交えて解説している所です。
こういった歴史をテーマにした書籍は、大概のばあい参考文献というモノが存在します。
本書は54冊の参考文献が巻末に記されていますが、ただ参考にしました、というのではなく、この54冊分のノウハウが要約されてつまっています。
上記でも述べましたが、ビジネス書ビギナーはとっかかりで頓挫してしまいます。
そんな時に、「歴史」「戦術」「偉人伝」などが、この1冊で入門書しての役割を果たしてくれます。
アーチストのアルバムでいうなら、BEST盤のような存在ですね。
・壁は乗り越えることができる
本書に登場する人物はみな、事態の局面において「突破口をみつけこじ開ける」ことに執念を燃やしつづけた人たちです。
そのケースが「戦場」か「ビジネス」かの違いだけでになります。(意味としては同じかもしれない)
歴史を学びそこから得られる英知を身につけた者こそ、この「突破口をみつけこじ開ける」スキルを身につけた者たちなるのでしょう。
紀元前3世紀に一大帝国を築いたアレクサンダー大王ですら、常に「イリアス」(最古のギリシア叙事詩)を置いて離さなかったという逸話が、いまでも語り継がれています。
まとめ
ビジネス書ビギナーの方は、はじめの1冊としての導入本として。
また、ベテランの方は、過去の戦略を現代戦略に置き換え、現在あなたが直面している問題にどう活かせるか、検証する読み方もできるでしょう。
そう賢者ほど過去の歴史から学び今に活かす事ができ、愚者は現状に落胆し未来を嘆くものでしょう。
ボクの読書術は、どんな本でも「今の自分の環境に置き換える」という作業を行うと、定価以上の対費用効果があがりますよ!と添えておきます。
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