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いまだから買っておきたいパイロットコーポレーションのカスタム74[コラム]

公開日: : 最終更新日:2024/06/21 コラム, 万年筆

いまだから買っておきたいパイロットコーポレーションのカスタム74


 1992年に発売になった株式会社パイロットコーポレーション(以下パイロット)は発売から30年を数える、定番であり逸品とよべる万年筆です。

このカスタム74が発売された当時、東京でサラリーマンをしていた私に友人が贈ってくれた万年筆で、いまのように物書きの仕事をするとは思っていませんでした。
その頃、カスタム74は本体価格10000円と、筆記具に大きな関心や興味を抱いていない私には、頭に”超”がつくほどの筆記具でしたが、なにやら大人になったような気がして、毎日使う目的がなくても持ち歩いていたことを覚えています。
この時代、万年筆インクといえば「ブルー」「ブルーブラック」「ブラック」「レッド」といった基本色のみで、もっぱら「ブラック」のカートリッジインクを愛用していました。

とは言っても、まわりで万年筆を使っている友人もなく、情報を集めようにも万年筆を解説するような専門誌の登場は2004年に創刊する「趣味の文具箱」まで待たねばならない現状でしたから、もらった当初の熱も段々と冷めて、気がつくと机の引き出しの奥にしまわれて、再びボールペンとシャープペンシルが筆入れのクリーンナップを占めるようになりました。

手帳ブームと万年筆


2008年奥野宣之さんの「情報は1冊ノートにまとめなさい」(nanaブックス)にはじまり、モレスキンノートブックに代表される高級ノートブックのブームが訪れ、万年筆を使う機会が爆発したのが2010年頃のことでした。
2024年現在「情報は1冊ノートにまとめなさい」改訂版がダイヤモンド社から刊行されています

LAMYsafariの登場


 「モレスキン・伝説のノート活用術」(ダイヤモンド社)がベストセラーになった頃、SNSでモレスキンユーザーがドイツLAMY社の万年筆safarを愛用しているのを見てて、そのスタイルのかっこよさに心を奪われた事、EFという極細字がスタイリッシュに思えた事に加えて、カスタム74を机から落としてしまったことで、主として使う万年筆が入れ替わってしまいました。

幸い、ペン先は無事でキャップと軸の破損だけで済んだのですが、その当時”修理”ができるという概念がなく、カスタム74が表舞台に戻るには少し時間が必要になりました。

復活のカスタム74


 サラリーマンを辞めた後、文具関連の仕事に携わるようになると、必然万年筆の情報も入ってくるようになり、カスタム74も万年筆の取り扱いがある文具店なら修理を受け付けてくれることを知りましたが、万年筆ユーザーには当たり前のはなしかもしれないことが、お祝いなどでもらった万年筆が不具合が出たとき、どうすればいいかわからない、初心者には「修理」を持ち込む場所すらも、万年筆を使うことのハードルになるとを自身が体験しました。
このタイミングで、運良く取材で東京へ出る機会に恵まれて、東京・京橋にある「パイロットミュージアム」(現在は閉館)に持ち込んで修理をお願いしたところ、すぐにその場で割れたパーツを交換してくれました、こんなにカンタンに治るのならもっと早くお願いすればよかったと思えるほどでした。

これを期に、パイロットカスタム74が再び筆入れに、いいえ万年筆だけをまとめた革製ペンケースの不動のクリーンナップとして執筆活動を支えてくれる1本になり、現在も活躍中です。

万年筆の価格改定


 コロナ禍以降といっても新型コロナウイルス感染が直接の理由ではありませんが、近年”金”の価格が日ごとに上がり、加えて円安の影響も加わり万年筆の価格改定が続いています。
改定というのは、わかりやすい表現をすれば”値上げ”ですが、これはやむ得ない現状といえます。
30年前にもらったこのカスタム74の価格が本体10000円だったものが、2024年1月現在本体価格16000円と1.6倍もの価格なっています。

文具愛好家の考察

 いろんな物の値段が上がり、消費者にとっては財布のひもをさらに縛らなければならない状態です。
そんな中、万年筆を買おうとする人は少ないかもしれませんが、いまあらためて手にしたいと思う方がいるのであれば、”今”購入することをオススメします。
パイロットカスタム74は、発売から30年以上が経過したモデルですが、パーツの改良はそのつど行われて、共通部品が多いことから、私がしでかした軸を壊すといったトラブルに遭遇してもすばやい対応をしてもらえます。
スマートフォンは3年から5年で買い換える時代のなかで、30年たってもまだまだ現役使える道具が10000円台で購入できるのは”高価”ではあっても、決して”高い買い物”ではないと思っています。
万年筆も上を見れば数十万円モデルもあり、モンブランに代表されるブランド品にも目移りしそうですが、国産3社(パイロット・プラチナ万年筆・セーラー万年筆)のエントリーモデルであれば、10000円台で一生使える万年筆が手に入ることは、ぜひ知っておいて欲しいと思います。

Amazonサイト

パイロット・カスタム74はこちら


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