世界の筆記具ペンハウス編集後記「万年筆ライフを楽しむ紙選び2024」[楽屋裏]
公開日:
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最終更新日:2024/01/26
編集後記
世界の筆記具ペンハウス編集後記「万年筆ライフを楽しむ紙選び2024」
2024年1月、ECサイト世界の筆記具ペンハウスの連載「逸品の小部屋」で、紙選びの記事が公開されました。
今回は、万年筆での筆記に相応しい「紙」をテーマにした内容で、紙業・メーカーさんにお話しをお聞きしてのコラムでした。
紙の色をテーマに、オーソドックスな白い紙は山本紙業株式会社の「バンクペーパー高砂プレミアム」、クリームカラーはデザインフィル(ミドリ)の「MDペーパークリーム」を、グレーカラーの用紙は吉川紙商事の「NEUEGRAY」をセレクトしました。
また、ちょっと番外編として、視覚障害者からインクルーシブルデザイン(対象者が中心となって開発を進める手法)から生まれた、大栗紙工株式会社の「まほらノート」をセレクトしました。
どの紙も普段からボクが愛用しているものばかりで、今風の表現をするならば「推し」と呼べるお気に入りの紙です。
ライターの矜持
今回のセレクトは、ボクの「推し」であることはもちろんですが、それぞれの紙がこだわりとユーザーサイドの利便性から生まれた紙ということで、選択の基準は実はこの紙に対する「パッション」にありました。
記事を書くにあたり、個人の感想をのぞけば可能な限り客観に努め、主観が一人歩きしないようい心がけてきました。
また、そんなボクにもお仕事をくれるクライアントがいて、なんとかその期待に答えたいとの思いで、コラムに関しては、文具のスペックを紹介するのではなく、物語を伝えたいというコンセプトです。
読者から見ると、その違い?ってよく見えないかもしれませんが、そういったこだわりもライターとしての矜持です。
そんな、個人的な事情はさておき、文具ライターと呼ばれる人は、この業界に数多くいて、ボクなどまだ新参者のひとりです。
また、文具関連の記事はプロ・アマチュアを問わず、誌面やBlogにSNSなどでも見る事ができる時代で、同じようなスペックの紹介記事を書けば、先輩やマニアに人の知識には遠く及ばず、差別化できないとあって、あえて文具の記事なのに文具を主題におかない記事を目指しています。
書き初め
今回の紙選びにおいては、お正月らしく「書き初め」のお話を冒頭に持ってきました。
最近は学校でも習字の授業はあるのか?子どもがいないボクにはよくわかりませんが、呉竹株式会社に取材した際に、墨汁の開発から、衣服を汚さない水で書く書道道具などのお話を聞き、墨や硯といった古典的な書道道具からの進化を感じています。
「逸品の小部屋」でも書いた通り「書き初め」とは江戸時代に宮中の行事として始まり(諸説あり)、明治になって庶民の間に普及したとあります。
また、書く文字も現在では「夢」「愛」「新年」「飛翔」「謹賀新年」などの言葉1文字から4文字の熟語のポジティブな心象の文字・言葉が人気のようですが、当時(江戸時代)は漢詩が中心で「長生殿裏春秋富不老門前日月遅」などが人気だったようです。
「書き初め」には「初硯」という別表現もあり、江戸の頃は旧暦の正月2日に行う行事でしたが、明治になってからは新暦の正月2日に行われ、恵方に向いて書くものだったと、今回の記事を書くにあたり知りました。
まるで、節分の巻き寿司のようですが、2024年の恵方は「東北東」になります。
文具愛好家のあとがき
子どもの頃に書いた「書き初め」にそんなルールがあったとは夢にも思っていませんでしたが、記事を読んでいただいた方が、うんちくのひとつとして心の片隅に留めてもらえたら嬉しい、そんな新年1本目のコラムでした。
世界の筆記具ペンハウス「逸品の小部屋」サイト
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