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台湾文具 尚羽堂國際有限公司の万年筆は驚きの大容量!五行星系列鋼筆Jupiterにビックリ![文具]

公開日: : 万年筆, 台湾, 文具店

台湾万年筆の尚羽堂國際有限公司

2018年台南筆展(ペンショー)の取材からすっかり台湾文具の魅力に取り憑かれてしまった。
先に断っておくが、日本の文房具は世界的に見てトップクラスの性能を誇り、価格でいうコストパフォーマンスも世界のトップだと思っている。

2018年台南ペンショー

いま台湾の万年筆が面白い

台湾ブランドの万年筆がとくかく楽しい。
3年前に日本のやってきたTWSBIはちょっとした文具店なら当たり前のように店頭に並ぶようになり、昨年2018年からはカラーバリエーション豊富なラインナップTWSBI Ecoが加わって、ドイツのLAMYsafariを思わせる商品展開になっている。
TWSBIについては過去にも紹介しているので、きょうは別の万年筆を紹介しよう。

尚羽堂國際有限公司


尚羽堂の店舗はビルの12階にあり、1階入口には守衛さんががっちり?ガードしてして、一見さんを近づけさせない佇まいを漂わせている。
このお店に入るための難関がボクを待ち構えていた。

ステージをクリアして最上階を目指せ!

台湾取材旅行の最終日、台北の知人からここのお店にはぜひ行かないと!と紹介されたのが台北市内に店舗を構える「尚羽堂」
GoogleMapを頼りに店を訪ねてみたが、最初の試練がさっそくあらわれた。
まず入口がわからない!誠品書店のようなお客様Welcome的な建物でないようだ。
ようやく、おぼしきビルの1階にやってきてものの、お店の屋号が書かれた表示が見つからない!
そのビルの1階には英語も日本語も通じない屈強?なガードマンが「怪しい日本人はここから先には絶対通す事はできない」というオーラを放ちながら入口を死守している。
ええいままよ!とお店の名前を紙に書いて、私はココへ行きたい!あなた知っているか?と英語と日本語と関西弁と訪ねたところ、意外にフレンドリーな対応で「私は外国語がわからない」(というそぶり)
どうやら、意味は理解してくれたようだが、「お店は13時からだ」みたいな事を中国で言っている(気がした)
「アポがある」と言っても「???」
そこで彼は「オレについてこい」と手招きをして「この上のフロアに日本語がわかる人間がいる」(たぶんそんな事を言っている気がした)
彼は守衛の仕事を一時棚上げして、通してくれた先に現れたのはカタコトだけれど日本語を理解してくれる女性だった。
なんとか、話が通じて「お店は13時だけれど、この時間にはお店にいるはずよ」と12階まで無事にたどり着く事ができた。(ふー!)
従来、お店は13時から営業だが、この日の午後には桃園空港から日本に帰る事になっていたので、知人が事前に話を通してくれていて、特別に開店前に店を入れてもらうことができた。
(注:13時からの通常営業ならこんな手間はかからないのでご安心ください)

カンフーマスター登場?

艱難辛苦を乗り越えて辿りついたお店の奥から現れたのは、ジャッキーチェンの映画に出てきそうなカンフーマスター?
なにか達人のようなオーラをまとった店主が姿を見せた。
にっこりと笑顔で迎えてくれたカンフーマスターもとい店主は机に向かい、店オリジナルの万年筆を磨いている最中だった。

尚羽堂オリジナル万年筆

青銅時代

青銅時代


話の途中で店主は金属製のハンマーを取り出し、目の前にあった万年筆をいきなり叩き始めた。
これはまずい、ボクは気づかずに台湾でのタブーに触れて彼を怒らせてしまったのか!
と一瞬きょうの帰国を諦めかけたところ、「これを見なさい」と無残に砕けた万年筆を見せられるのかと思ったら。
そこには、傷ひとつ付いていない万年筆が目の前にあった。
大陸4000年の秘術かなにかと思ったら、軸に特殊樹脂を使いとんでもない強度のをほこる万年筆がこの青銅時代だった。

金属製のキャップ


これが尚羽堂の「青銅時代」と呼ばれる万年筆、キャップと尻軸は金属製でずっしりと重さが手のひらに残る存在感をしめしている。
クリップレスのキャップを良く見るとドラゴンをモチーフにしたデザインが特長的で、筆記の際はキャップは外すスタイルになっている。

Jupiter

Jupiter


今回の台湾取材で1番気に入った万年筆がコチラ。
青銅時代を一般的にしたモデルで、金属製ではなくプラスチック樹脂でキャップにクリップがついたオーソドックスな万年筆に仕上がっている。
Jupiterはもちろん惑星「木星」を意味し、天冠に惑星記号「♃」が描かれている。
この他に惑星シリーズ(五行星系列鋼筆)には火星・土星・水星・金星などがある。

木星の記号


ユニークな点は、本体にカートリッジは付いていないが、ドイツシュミット製のコンバータとシリンジ?(注射器)が付属している。
日本の万年筆ユーザーの間では、使い切ったカートリッジにインクボトルからシリンジを使って補充する人たちがいる、台湾でもそんなニーズがあるのかと思ったら?

シリンジが標準で付属

このシリンジ、確かにインクボトルから万年筆にインクを補充するためのツールとして付属しているのだが、カートリッジやコンバーターに移し替えるためではなく、万年筆の本体に直接インクを注ぐためのシリンジだった。

インクボトルからシリンジを使いインクを吸い上げる


インクを軸本体へ注入(イメージ)


万年筆のインクはコンバーターなら約0.5cc〜0.7cc、カートリッジなら約1cc(未満)が平均的な容量、ところがこのシリンジのメモリは最大で3cc!、これがまるまるJupiterには収まるので連続筆記でつねにカートリッジを持ち歩くに人には救世主的な万年筆。

インクを入れた状態


シリンジは3ccまでOK


パソコン業界に習うならエコインク搭載型のプリンターといっていいかもしれない、しかもこの本体には最大で4ccまでのキャパがあるというからさらに驚き。
ペン先はスチールながら適度な柔らかさがあり、万年筆初心者でも意識することなく筆記ができる堅さ具合と言える。

尚羽堂店内


店内には万年筆をはじめ、紙製品も豊富でヨーロッパから仕入れた和紙のような手触りの紙からスケッチや水彩に適したノートまで幅は広い。

陶器製のインク瓶とペントレイ


お店は万年筆の専門店として各国のインクや紙製品が並び、合わせて尚羽堂オリジナル万年筆や陶器のインク瓶などを販売している。

試筆コーナー


また店内には万年筆の試筆ができるテーブルも用意されていて、納得のいくまでお気に入りの万年筆を吟味することができる。

日本の万年筆専門雑誌も


さらに日本の万年筆ファンにはお馴染みの「趣味の文具箱」(枻出版社)まで置いてあり、台湾の万年筆ユーザーも参考にしてるようだ。

もしこのお店がボクが通える範囲にあれば、間違いなく常連になっているに違いないし、次に台湾に訪れる機会があれば間違いなく足を運ぶことだろう。

台湾万年筆のまとめ

TWSBIと同じく尚羽堂オリジナル万年筆もありそうでなかった機能を持っている。
まったく0(ゼロ)からの発想ではないが、かつて日本が携帯音楽プレイヤーWALKMANを発売したように、どこかとんがった特徴を携えてたところに、かつて物作り大国日本と呼ばれた頃の勢いがこれらの万年筆からひしひしと伝わってくる。
尚羽堂オリジナル万年筆Jupiterや青銅時代は日本での代理店がないため、一部の個人輸入を除けば、国内大手の文具店でもまだ(2109年1月現在)販売されていない。
これらが日本でも購入出来るようになれば、複数の万年筆使いのユーザーのペンケースに間違いなく入る1本になるはず。
そんな日が待ち遠しいボクです。

尚羽堂國際有限公司

URLはコチラ

住所:台湾 Taipei City, Da’an District, Section 3, Roosevelt Rd, 335號12樓之1


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