アシュフォード30th 理想のレザー文具を語る~ASHFORD LOUNGE神戸~[レポ]
公開日:
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最終更新日:2016/10/06
ナガサワ文具センター, レポート, 手帳
アシュフォード30th 理想のレザー文具を語るvol6舞台は神戸!
2016年10月2日今回で第6回を迎える*1アシュフォードラウンジは文具な港街、神戸を舞台に開催されました。
これまでの5回は、向井善昭氏(アシュフォード)土橋正氏(ステーショナリーディレクター)清水茂樹氏(雑誌「趣味の文具箱」編集長)の3人が全国をめぐりながら、「システム手帳」の魅力を読者・ユーザーに直接伝えるイベントとして、2016年2月第1回を代官山蔦屋書店を皮切りにスタートしました。
それぞれの会場でアシュフォードとシステム手帳の歴史にはじまり製品や、それぞれの使い方などを登壇者3人が、絶妙なトークを交え魅力を伝えてきました。
そして第6回の神戸では、4人目のシステム手帳伝道師として、ナガサワ文具センター室長竹内直行さんをお迎えしてのトークショーイベントとなりました。
竹内直行氏
ナガサワ文具センター室長としての顔よりも、万年筆ファンにはあの「神戸インク物語」(万年筆インク)の産み親と言った方がわかりやすいかもしれません。
そんな竹内直行氏は、文具販売店の1社員としてではなく、現在において「文具業界の歴史」を誰よりも1番よく知る人物としての一面をもちあわせる、文具界の重鎮!
清水編集長は竹内氏のことを「文具界のジェダイマスター・マスターヨーダ」と崇めるほどの存在でもある方です。
アシュフォードラウンジ in KOBE
第1回は代官山蔦屋書店のラウンジAnjinで開催、まさに大人の空間ただよう広いラウンジでの楽しいトークショーでしたが、この神戸ではBARを一軒貸し切って30名限定のイベントになりました。
会場となったのは神戸三宮に近いBAR REQEST、お店のキャパも限られていて参加者は事前申し込みの抽選と狭き門でしたが、当日運に恵まれた30人が開場と同時に集まり、会場はトークショーが始まる前から熱い熱気に包まれました。
会場:神戸三宮 BAR REQEST
日時:2016年10月2日日曜日 14:30開場 トークショーは15:00~16:00
登壇者
向井善昭(ASHFORD・株式会社シーズンゲーム商品企画部)
清水茂樹(枻出版・雑誌「趣味の文具箱」編集長)
土橋正(ステーショナリーディレクター・作家)
竹内直行(ナガサワ文具センター室長・神戸インク物語他商品開発)
左から、清水編集長・竹内直行室長・向井善昭氏・土橋正氏
システム手帳伝来記
システム手帳が日本にはじめて登場したのは1980年代、100年の歴史を持つイギリスの*3ファイロファックスが日本に本格的に輸入され一気にブームが広がり、バブル時代のビジネスマンのシンボルのような存在になりました。
当時ウィンチェスターと呼ばれ(日本名ではスタンダード)23㎜(リング径)6穴の革製で、今から30年も前に1冊36000円もした高価な文房具でした。
リフィルで使われていた用紙も規格品のA系(A4は一般的なコピー用紙の規格)でもB系でもない*2「バイブルサイズ」と呼ばれ、おそらくはファイロファックス社のオリジナルな規格サイズで、これが現在のシステム手帳のリフィルの主流バイブルサイズといわれているモノです。
当時の事を知るナガサワ文具センター竹内室長は、この価格でも1日に数冊は売れる人気商品で、日本で店頭に並んだのは東京の伊東屋よりもナガサワ文具センターの方が早かったと、神戸がシステム手帳普及の魁(さきがけ)でした話されました。
ファイロファックス社だけが日本でのシステム手帳文化を築いた訳はなく、アシュフォードの存在をなくしては日本のシステム手帳を語ることは出来ません。
ファイロファックスから少し遅れた1987年にアシュフォートが発売したシステム手帳プレスコットははじめてのメイドインジャパンシステム手帳として大きな歴史を刻みました。
プレスコット
アシュフォードは今年(2016年)30周年の年に、プレスコットを現代に再現させました。
現代によみがえったプレスコット
- プレスコットトラベルマンジャケット
- プレスコットスタンダードジャケット
- プレスコットコーチマンジャケット
左から順にの並びです。
PRESCOTT BIGMAN(プレスコット・ビッグマン)
今回のアシュフォードラウンジの最大の目玉は、アシュフォードと神戸ナガサワ文具センターとのコラボ企画で誕生したシステム手帳「プレスコット・ビッグマン」。
プレスコットコーチマンジャケットのリング径は25㎜と市販されているシステム手帳としては最大級の大きさを誇ります。
(例外的に「7つの習慣」で知られるフランクリンプランナーにはこれより大きいモデルがありますが、リフィルがオリジナルサイズなため、他のシステム手帳と互換性がありません)
この「プレスコット・ビッグマン」は25㎜よりさらに大きな30㎜経のリングを使用することで、従来よりたくさんのリフィルを収める事が可能です。
【特徴】 プレスコット・ビッグマン
- リング径30㎜は約250枚のリフィルが入る(リフィル厚75g/㎡基準)
- 左面にネームカードホルダー装備
- 右側にはマチ付きの大型ポケットと落下防止のフラップ装備
- 背表紙は上装丁の全集書籍のような角角したスクエアバック仕上げ
- 左右面と30㎜リング内にペンホルダーを装備!計4本のペンを同時に携帯できる収納力
- 分厚い事は、さまざまなオプション(リフィル)を追加させてジブンオリジナルなシステム手帳に
- 限定130冊で¥36000−(税別)
このプレスコット・ビッグマンは想像を超えたビッグサイズ、はたして手帳と呼んでいいのか?
その存在感は21世紀に降臨した、システム手帳の超ド級戦艦大和です。
だから、こんな革製リフィルを一緒に持ち歩く事可能になります。
- プレスコットポーチリフィル ¥10000−(税別)
- プレスコットジョッターリフィル ¥7500−(税別)
- プレスコットウォレットリフィル ¥17000−(税別)
プレスコット・ビッグマンの価格は¥36000−(税別)、30年前にシステム手帳が日本にやって来たときとほぼ値段は同じ、これを高いととらえるか?安いととらえるか?
余談ですか、アシュフォードは今年で創業30年、プレスコット・ビッグマンのリング径は30㎜とアニバーサリーナンバーです。
さらにナガサワ文具センターは創業134年、このプレスコット・ビッグマンは限定134冊・・・とはいかず、でも130冊はアニバーサリーナンバー的な数字です。
当初は134周年にあわせて134冊を作る話もあったそうです。
こぼれ話
30㎜径リングは現在どこのメーカーでも製造していないために、この企画が出たときに日本中の業者を探し回りやっと手にできたのが150個だけ。
この内約20個は予備として確保して130冊が今回の製品化になりました。
もし仮に追加でリングだけを生産するとなると、金型から作りなさないといけないので最低ロットが数千個!?
追加生産になるほどシステム手帳が、再び脚光を浴びて普及すると嬉しいのですが、それにはまだ少し時間がかかるかもしれません。
とすれば、この130冊欲しいひとは急いだ方がよいかも!
発売日:2016年10月2日16:00からナガサワ文具センター本店
きょうのイチオシレザー文具
今回の「理想のレザー文具を語る」の中から登壇者のイチオシレザー文具を紹介します。
清水茂樹:リアン(小型A7ノートカバー)
「A7ノートは常用するメモ帳として理想のサイズ」と話す清水編集長。
手帳用えんぴつを差すことができる、いままでにあるようでなかった上質のノートカバーです。 ¥6800ー(税別)
土橋正:スピードジョッター(付せん付き)
ジョッターと付せんを融合させたミニマムリストの真骨頂を感じさせるレザー文具。
付せんは75×75とごく一般的なサイズが使えて、書き終わればポンポンと手帳に貼っていける快適さと付属にえんぴつがついているので、いつでもどこでも活躍できるユビキタスツール。¥4445ー税別
竹内直行室長:A7ジョッター
A7サイズはどこでも入手可能なA4用紙(いわゆる標準的なコピー用紙サイズ)を3回折りたたむとこのサイズになります。
ボクはこのA4サイズを使ってA7サイズ16面のメモ帳にして常に持ち歩いていますが、A7ジョッターというのは、いままでありませんでした。
清水編集長もイチオシする、携帯するメモにピッタリのA7サイズジョッターと、今回はそれに合わせて万年筆ユーザーに大人気な神戸派計画のグラフィーロ(用紙)をリフィルに採用しました。
さらに今回のプレスコット・ビッグマンのポケットにピッタリ収納できるよう、一緒に考案されたジョッターです。
向井善昭:プレスコット・コーチマンジャケット
リング径25㎜で表紙が2つ折りになっているのが特徴、カバーの裏にはバイブルサイズのリフィルがそのままジョッターとして使えるほか、可動式ペンホルダーは太めのペン14㎜径までに対応しています。
業界では表2と呼ばれる表紙カバー(拡げた状態で1番左側になる部分)はファスナーがついていて、向井さんはパイプの葉をいれて使っていたとか・・・。
海外へ出かけて行くときは、現金やパスポートなどな外からは中身が見えないのはとても便利です。
注釈
*1 アシュフォードラウンジ
アシュフォード30thを記念してシステム手帳の良さを伝える全国縦断トークショー。
*2 バイブルサイズは聖書のサイズ言われている、システム手帳のリフィルのスタンダードサイズ。
*3 ファイロファックス(英国)はシステム手帳ブランド。
アシュフォードもファイロファックスから学んだ事も数多く、社名のアシュフォードは英国へ視察に赴いた際立ち寄った街の名前からつけたとか・・
まとめ
2016年2月に行われた第1回目のアシュフォードラウンジから半年、その間にたくさんの30th記念レザー文具が誕生しました。
商品開発にはアシュフォードの商品開発部の向井さんだけでなく、文具に精通した清水編集長や文具コンサルタントの土橋正さんらのアイデアを具体化した製品も数多くあります。
近年、個人文具メーカーと呼ばれる人たちがメディアでも登場・活躍するようになった背景には、メーカー(生産者)主体の視線ではなく、ユーザー視線から作り上げた製品が購入者の「かゆいところに手が届く」そんな製品を世に送り出した結果かもしれません。
もちろん大手メーカーには長い歴史の中に培われたノウハウがあり、その蓄積は個人が太刀打ちできるものではありませんが、アシュフォードが30thで行った事は、清水編集長や土橋正さん、そして今回のナガサワ文具センターの竹内室長など、ユーザーに近い位置にいる人たちが製品の開発に携わることで、よりボクたちユーザーが使いやすい、さらには驚きの機能を加えて製品化されるのは、これから市場・業界には必要な事だと確信しています。代官山蔦屋書店でのアシュフォードラウンジの様子
写真撮影協力 神戸ナガサワ文具センター本店
住所:〒650-0021 神戸市中央区三宮町1丁目6番18号 ジュンク堂書店三宮店3階
電話:078-321-4500
営業時間 10:00〜21:00
定休日:不定・ジュンク堂書店に準じる
過去記事
この時の記事「代官山蔦屋書店 STATIONERY SALON ASHFORD 夢見る理想のレザー文具」はコチラ
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