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万年筆は怖くない、パイロットカスタム74から始める万年筆入門[文具]

公開日: : 万年筆, 文房具

パイロットカスタム74から始める万年筆入門

 万年筆という言葉には、ある種の憧れと敷居の高さを同時に感じさせてしまう何かが常につきまとっています。
ひとつには、高級筆記具の代表的な存在として、おいそれとは手が出せない「敷居の高さ」そして、身の回りで使っている人がいないあるいは少ないために、情報量が少なく未知のモノに思えてしまう「不安」からかも知れません。

高額な筆記具だからこそ大切に使う

 「不安」の要因のひとつ「壊れたらどうしよう?」これってパソコンやスマートフォンを敬遠している人たちの感覚と同じです。
結局壊してしまったらという不安が手にする機会を自ら遠ざけているのと同じで、実際に触ってみると、そう簡単には壊れないし、使ってみると実に便利な道具とわかってもらえるはずです。
1本100円程度で購入できるボールペンも数万円の万年筆も衝撃を与えれば、破損して本来の機能である心地よい筆記ができなくなってしまいます。
だからこそ、モノを大切に取り扱う事をおぼえるのも事実で、いい万年筆はそれこそ一生使える相棒になってくる存在です。

万年筆も修理が可能です

 いきなりですが、株式会社パイロットコーポレーション(以下パイロット)の定番万年筆「カスタム74」を愛用しているボクですが、ついうっかりカフェでテーブルから床に落としてしまった経験がありました。
幸い、キャップをつけたままだったので、ペン先は無事でしたが、キャップが欠けて、軸にひびが入ってしまい、「やっちまった!」とショックでしたが、運良く(都合良く)東京出張の機会があり、京橋にあるパイロットコーポレーション本社ビルに持ち込んだ結果、その場ですぐに部品交換をしてくれて、無事に手元に帰ってきました。
ここが今回のテーマのひとつ、定番文具は修理もしてもらいやすいのです。
乗用車に例えるなら、生産台数の多い「プリウス」や「アクア」などの車種は共通部品も多く、万が一のトラブルや消耗品の交換などパーツがあらかじめ用意されていて、修理も比較的早く処理してくれます。
定番と呼ばれるものほど、修理や交換が容易な事も実は大きな魅力なのです。
これが、特別限定品であれば、修理に数週間要したり、海外のブランドであれば本国へ郵送して修理ともなると数ヶ月が当たり前になってしまい、最悪修理交換不可!なんて憂き目に遭うこともあります。

パイロット万年筆カスタム74


全てのパーツを生産して組み立てる万年筆業界の「マニファクチュール」
パイロットの万年筆はすべての部品を自社工場で行う、世界的に見ても数少ないメーカーです。
万年筆の命ともいえる、ペンポイント(ペン先)の製造技術を持つメーカーはわずかに数社だけで、そのひとつが日本を代表するパイロットです。
現在金の価格が高騰していて、海外のブランドであれば金ペンを採用した万年筆は少なくても30000円以上、ところがパイロットのカスタム74であれば、14金のペン先を採用しながら13200円(消費税込み)で購入できるのも魅力です。

金ペンと鉄ペン

14金ペン先


 ペン先に使ったペン先は00金とか00Kで表記されますが、これは金以外の含有量の比率で変わります、パイロットカスタム74は14金のペン先を採用していて金の含有量は58.3%になります。
上位モデルのパイロットカスタム845の場合18金と金の含有量は75%と、数値が多きなるほどより純金に近くなり、比例して万年筆本体の価格も高くなります(純金=含有量100%は24金)
10000円以下の万年筆では主にステンレススティールのペン先、いわゆる鉄ペンと呼ばれるもので、金ペンとの違いは主に書き心地に現れます。
鉄ペンはカリカリした、一般的に硬いと表現され、それに対して金ペンは柔らかい書き心地と言われます、感覚的に鉄ペンは鉛筆の硬度で例えるならH(1〜10H)、金ペンはB(B〜10B)といったイメージでいいかと思います。

字幅が豊富なカスタム74のラインナップ

 14金を採用したペン先は滑らかで、比較的初心者でも扱い易い硬さですが、パイロットカスタム74の場合、字幅の種類も実に豊富な点も魅力です。
一般的な万年筆では、主にEF(極細)F(細字)M(中字)B(太字)の4種類ですが(中にはFとMだけの万年筆もあります)、パイロットカスタム74にはさらに細分化した字幅11種類から選ぶことも可能です。

コストパフォーマンス

 1本10000円以上もする筆記具はやはり高級品ですが、スマートフォンiPhoneの新種に100000円出して、5年で買い換えるとして1年で20000円と考えるなら、パイロットカスタム74は1本13200円(消費税込み)を一生使うなら破格です、さらに次月の通信費だってバカになりません、もちろん万年筆にも消耗品としてインキ(パイロットではインキと表記)が必要ですが、同じパイロットから発売されている350mlのインキなら1650円(消費税込み)と毎日筆記に使っても3年以上は余裕で使えます。

まとめると

 ボクが愛用しているパイロットカスタム74はかれこれ30年来の付き合いになる万年筆で、最古参の1本です。
当時はまだサラリーマンをしていた頃で、現在のように文具に関わる仕事とほとんど無縁の職場でしたが、友人からのプレゼントということで、今のように毎日使うことはありませんでしたが、手紙を書くときには必ず使っていました。
途中、テーブルから落としてしまうというポカをしでかしてしまいましたが、それもそれなりに大切に使ってきたので30年が経ったいまでも、なんの遜色不備もなく安心して筆記を委ねられる1本になっています。
幸か不幸か?現在の仕事では多くの筆記具に触れる書くという機会に恵まれて、自宅には50本以上の万年筆に囲まれていますが、常にデスクのレギュラーメンバーとして今までも、そしてこれからも使い続けれる万年筆である事は間違いありません。
経験者は語る、なんてカッコ良くいうつもりはありませんが、はじめの1本にお悩みのかたには、けっして後悔しない万年筆としてオススメできるパイロット万年筆カスタム74です。


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